雨宮さんの日記

雨宮さんの日記です

【 声劇台本 】女盗賊 (フリー台本)

 

【登場人物】

 ■ 女盗賊 - 女盗賊になりたての心優しい女盗賊。腕っぷしは強い

 ■ 手下1 - 女盗賊の腕にほれ込んだ手下、普通の悪い奴だけど

 ■ 手下2 - モブの手下

 ■ 女   - 悪い奴に襲われる女の子

 ■ 敵   - 女を襲う舞台装置




女盗賊「私は女盗賊! ここを通る旅人から金になるものを片っ端から奪っていくのが私の仕事」

手下1「へっへっへ、ボス。丁度弱そうな女子供が道を歩いてますぜ!」

手下2「やっちゃいますか?」

女盗賊「ば、ばか! 女子供から金目のものを巻き上げるなんて可愛そうだろ! 卑怯だとは思わないのか!」

手下1「だ、だけどボス。ああいう弱そうな奴はいいカモ…ぐはっ!」

女盗賊「盗賊でも礼儀はある! ほら見てみろあの微笑ましい家族! あんな光景に手が出せるか」

手下1「そ、そうっすね。確かに女子供はちょっと卑怯ですね。やめましょう」

女盗賊「うむ。盗賊の流儀に反しない獲物を狙うんだ」


手下1「あれはどうですかボス。老人が大きな荷物を持って歩いてますぜ!」

手下2「やっちゃいますか?」

女盗賊「バカ野郎! ご、ご老体に手を上げるとはお前それでも人間か! 恥を知れ!」

手下1「だ、だけどボス。あれ男だし、子供でもない…ぐはっ!」

女盗賊「お前もいつか、あのご老人みたいになるんだぞ。それでも手を上げられるのか」

手下1「わ、わかりました。老人はやめときましょう」

女盗賊「うむ。我々盗賊も老人に優しい賊を目指すんだ」


手下1「あれを見てくださいボス。ほら、弱そうな青年が歩いてます。あれなら若いし、男だし」

手下2「やっちゃいますか?」

女盗賊「馬鹿! よく見てみろ! お前の目は節穴か!」

手下1「え? 普通の、しかも弱そうな男性っすよ」

女盗賊「あの足の引きずり方。あれは怪我をしてる男性だ。怪我人を襲うなんて親が泣くぞ!」

手下1「いや、でも。怪我してるならチャンスじゃ、別に殺そうってわけ…ぐはっ!」

女盗賊「男なら正々堂々と金目のものを奪え! お前のやってる事はいじめと変わらないぞ!」

手下1「あ、はいボス。怪我人はやめときましょう。さすがに卑怯っすよね、さすがに」

女盗賊「うむ。明日はわが身。怪我人に優しくして損はないぞ」


手下1「ボス見てください! あの男、普通に健康そうだし、強そうだしアレならいいでしょアレなら」

手下2「やっちゃいますか?」

手下1「三人で一気にボコっちゃいましょう」

女盗賊「馬鹿! ばかばかばか! ばかの助! 三人! 三人だって! なんて卑怯な!」

手下1「そうきたか。で、ですけど。あー、1対1じゃあの男に勝てるかどうか」

女盗賊「だからって三人がかりでいいと思ってるのか! ちゃんと1対1で戦い金目の物を奪うんだ!」

手下1「ボス! さっきから思ってたけどボスって盗賊っぽくな…ぐはっ!」

女盗賊「私はれっきとした盗賊だ。ちゃんと転職の神殿で転職してきた! 前職は僧侶だったけどな」

手下1「…だからか。いや、あのボスは盗賊に向いてないと思うんですけど」

 

女「キャーーーーー!」

女盗賊「女の悲鳴!?」

手下1「あそこ! 見てください! 女が男達に絡まれてます!」

女盗賊「な、なんて卑怯な! 女一人に三人がかかり」

手下1「先越されちゃったじゃないですかってボス?」


敵「そこの女金目の物を置いていけ。あ、そこそこ可愛いじゃねーか。ぐへへ」

女「いや、こないでください」

敵「こりゃ楽しめそうだ…って、誰だ邪魔をする奴は!」


女盗賊「女一人に集団で。盗賊の風上にも置けない奴。真の盗賊の私が成敗してくれる!」

手下2「やっちゃいますか?」

女盗賊「手加減するなよ」

手下2「アイアイサー」

手下1「あ、ちょ、ちょっとボス待ってくれ俺も俺も!」

 


女「ありがとうございました。おかげで助かりました」

女盗賊「この辺は悪い盗賊がウロウロしてるから一人で歩かないほうがいい」

女「お名前だけでも」

女盗賊「名乗るほどのものじゃない。ただの女盗賊さ。じゃあ道中気をつけて!」

女「女盗賊…素敵」